外国人法(3)外交的保護
「領事保護」とは逆に、領域内の外国人に関する保護はどうなっているのでしょう?
まず、保護義務に関し、いくつかの主義がある。
①国際標準主義:母国にいるのと同等の保護が必要(※)
②国内標準主義:自国民と同等の保護(で足りる)
(※)欧米諸国が、その他の国に対して求めた経緯がある。
が、現代においては、国際人権法が発達しており、ボトムラインはありますわね、ということで良いでしょう。
「領事保護」に相当する概念としては?
「外交的保護」や。
もしかしたら、「マヴロマティス事件判決」(1924)の「埋没理論」の話は聞いたことがあるかも知れんな。
一言で言えば、外交的保護権は、国家の権利なんで、個人の各種請求権はその中に埋没してますわ、ということ。
今は、「バルセロナ・トラクション事件(1970年)や「アーマドゥ・ディアス事件」(2007年)については、知らなくて良いよ。
外交的保護権に行使要件は?
ええ質問やな~。もしかして、国際法の勉強したことあるんとちゃうの?知らんけど。
まぁええわ。
それで、現時点では、下記2点を覚えときなよ。
①国籍継続の原則
:個人は損害発生から救済完了まで請求国の国籍を継続保有すべき。
例えばやけど、A国の国民がA国から損害を受けたところ、B国が当該個人にB国の国籍を付与し、諸々内政に干渉する、というリスクがありますからな。
閑話休題。ここで、例の「ノッテボーム事件」については、復習しときや。リヒテンシュタインの保護権限が否定されたアレな。
②国内救済完了の原則
:領域内で利用可能な法的手段を全て尽してからにすべき。
私人の紛争が国際紛争に転化し易い状況は好ましくないですからな。
②については、「インターハンデル事件」(1959年)は覚えておき。
今日はこれくらいにしといたろ。